【症例紹介】潜在精巣

腹腔鏡で潜在精巣の摘出手術をしました

潜在精巣とは、精巣の下降が途中で止まってしまう事です

精巣は陰嚢の中に収まっている状態が正常ですが、生まれる前はお腹の中にあります

腎臓の近くに発生した精巣は、靭帯に引っ張られて陰嚢の中に下降してきます

その下降がうまくいかずにお腹の中に止まっていたり、鼠径部あたりで止まってします状態を潜在精巣と言います

潜在精巣では通常と比べて精巣の腫瘍になる確率が13倍も高くなるため、摘出手術をした方がいいとされています

潜在精巣は遺伝的疾患で、下降不全の精巣は萎縮していたり形成不全であることが多いため触診では診断することが難しく、お腹の中にある場合はもちろん触診ではわかりません

超音波検査でも潜在精巣がどこにあるのかを検査することは困難です

ご紹介するわんちゃんも片側の潜在精巣で触診でも超音波検査でも診断ができませんでしたが、腹腔鏡手術ですぐに潜在精巣が見つかり摘出することができました

 

 

腹腔鏡手術では小さな傷で手術ができるため、人間の場合も術後の社会復帰が非常に早いことが知られています

今回手術したわんちゃんは皮膚病であったこともありますが、手術によるキズがどこなのわからないほどの小さなキズで手術をすることができました

キズが小さなこともメリットですが、腹腔鏡手術では痛みも少なくお腹の中を内視鏡カメラで拡大して見ることができるので安全で安心できることが大きなメリットです

動物の医療は人の医療よりも15年遅れていると言われています

腹腔鏡は15年以上前から人の手術で活躍してきました

獣医内視鏡外科研究会では人の医師が監修し、動物の医療に内視鏡外科が取り入れています

動物に優しく、飼い主様に分かりやすい治療のために当院では腹腔鏡手術を取り入れています

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